2001年〜2002年ごろ発生した携帯電話のワン切り被害について

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調べたきっかけ

2015/05/25の記事で、こんな海外からのニュースを見つけました。
海外からのワン切り詐欺にご注意を!イタリアで起こった電話被害 | おかねの学校



日本でも、同様な事象が2001年頃から発生しています。携帯電話が普及し始めて着信履歴が閲覧できる環境が整ったことがひとつのきっかけだと思います。温故知新として、当時のニュースでいまもインターネットに残っているものを調べてみることにしました。


調べたこ

国民生活センターの発表(2001年11月28日)

自分の携帯電話に残っていた着信記録を見て、その電話にかけ直したところ、ツーショットダイヤルやアダルト番組の案内だった、という、いわゆる「ワン切り」に関する相談が、国民生活センターおよび全国の消費生活センターに突然大量に寄せられています。

この発表から、2001年秋よりこの手口が国内で流行し始めたことがわかります。また同時に電子メールや掲示板において、でまかせな情報が蔓延したようです。

当時の分析記事

ダイヤルQ2のように情報料を電話の基本使用や通話料とを一緒に徴収されるのではなく、ワン切り事業者が独自で請求をしていました。

ワン切り業者が全国初摘発(2002年4月19日)

警視庁保安課と麻布署が、4月19日にワン切り業者を摘発し、わいせつ物陳列罪の疑いで逮捕しました。

携帯電話を一瞬鳴らして切り、着信記録に表示された電話番号に折り返しかけてきた相手にわいせつな音声を聞かせていたとして、警視庁保安課とハイテク犯罪対策総合センターなどは十九日までに、東京都内の業者三人をわいせつ物陳列容疑で逮捕した。この電話はいわゆる「ワン切り」と呼ばれて社会問題化しており、摘発は全国で初めてとみられる。

逮捕は画期的と評価してよいでしょうが、逮捕理由がワン切りを大量に行ったことではなく、猥褻物陳列の容疑であるというのがポイントです。

大阪でワン切りが原因の輻輳が発生(2002年7月15日、2002年7月29日)

2002年にはワン切り業者が大量の不完了呼を発生させたことで交換機が輻輳し、大阪と兵庫の一部で電話が接続しにくくなる事象が発生しています。

NTT西日本では、平成14年7月15日(月)に大阪府下および兵庫県の一部で発生した電話輻輳(電話がかかりにくい事象)について調査を行ってまいりましたが、その内容を次のとおりご報告します。

この事象は、電話網において発生した特定の事業者による組織的なDDoSといってよいでしょう。
従来に発生していた電話の輻輳は、チケットの予約販売等の目的で特定の電話番号へ集中する"企画型輻輳"か、あるいは地震などで特定の地域に向けた電話が増加する"災害型輻輳"がほとんどで、新たなタイプの輻輳が発生したともいえます。

この事件の分析記事です。

約款を変更したその月のうちに、実際に回線を利用停止させる(2002年8月20日)

NTT西日本によると、大阪府内の大規模通話障害以降、回線の監視を強めていたところ、この業者のワン切り行為を発見。今月16日、警告文書を送った。しかし、19日午前、この業者が福岡市内の交換機を使って大量発信を始め、通話障害が出る恐れが出たため、NTTは同日午前9時ごろから午後8時ごろまでいったん回線を中断。同日午後10時ごろ、業者が再びワン切り行為を始めたため、20日午前0時すぎ、利用停止に踏み切った。

総務省の研究会における議論(2002年10月7日)

総務省では、本年8月から「迷惑通信への対応の在り方に関する研究会」(座長:堀部政男 中央大学法学部教授)を開催し、いわゆる「ワン切り」等の迷惑通信への対応に必要な方策の検討を進めてきましたが、このたび、同研究会において報告書が別添(PDF)のとおり取りまとめられましたので公表します。

有線電気通信法の一部を改正する法律が成立

第13条の2 営利を目的とする事業を営む者が、当該事業に関し、通話(音響又は影像を送り又は受けることをいう。以下この条において同じ。)を行うことを目的とせずに多数の相手方に電話をかけて符号のみを受信させることを目的として、他人が設置した有線電気通信設備の使用を開始した後通話を行わずに直ちに当該有線電気通信設備の使用を終了する動作を自動的に連続して行う機能を有する電気通信を行う装置を用いて、当該機能により符号を送信したときは、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

  • 2002年10月25日 閣議決定、国会提出
  • 2002年11月21日 衆議院総務委員会 質疑・採決(全会一致)
  • 2002年11月26日  衆議院本会議(全会一致)
  • 2002年12月3日 参議院総務委員会 質疑・採決(全会一致)
  • 2002年12月4日 参議院本会議(全会一致)
  • 2002年12月11日 公布
  • 2002年12月31日 施行