死せる著者への賛辞

死せる著者への賛辞

しかし、書くことの巧みなお前は、これらのことをしなければならない。
(これから来ること、すでに起こったことを見ることのできる)
神々のあとに来る時代より
これらの書記と賢人について
その名は永遠に伝えられている。
彼らが去り、彼らが生命の時間を終え、すべての人びとが忘れられても、
彼らが青銅や鉄の柱でピラミッドをつくらなくとも、
跡継ぎたちがどのように自分たちの名を受け継いでいくかを知らなくとも、
彼らは、自分たちの書いた文字や教えを自分たちの跡継ぎそのものとした。
彼らは自分たちのために本を朗唱する神官に、
書記板を愛する息子に、
教えを自分たちのピラミッドに、
ペンを自分たちの赤ん坊に、
石の表面を妻にした。
大きなものから小さなものまで
彼の子供たちに与えられた。
書記、それは彼らの頭である。
扉と家が作られ、そして、壊れ、
葬式が終わり、
その石碑が土でおおわれ、
彼らの住処は忘れられた。
しかし、彼らの名は、彼らがいた時から、彼らがつくった記録に記されている。
なんと彼らの思い出と彼らがつくったものはすばらしいことだろう、
永遠に通ずるものだ!
書記になれ!このことを忘れるな!
お前の名は彼らのように存在するのだ!
パピルスの〕巻物は彫刻された石柱よりも、
囲い込まれた土地よりも貴重だ。
彼らの名を口に出す者の心のなかでは、
これらは礼拝堂やピラミッドのようなものだ。
たしかに人間が口にする名は、
墓地では効力がある!
人間は滅び、死骸は塵となり、
人びとは土地から去るが、
一人の語る者の口に
彼をよみがえらせるのは一冊の本である。
建てられた家よりも、西方の礼拝堂よりも
はるかに偉大なるものは〔パピルスの〕巻物である。
それは立派な邸宅にも、
神殿の石碑にもまさるものである……

ロゼッタストーン解読


Lesley & Roy Adkins, ``The Keys of Egypt: The Race to Read the Hieroglyphs''の日本語訳「ロゼッタストーン解読」より引用.なおこの本を読む前に,本の内容ではロゼッタストーンにほとんど触れておらず,表題に明らかな偽りがあることに注意すること.訳者も分かってこの題目を選んでいる節があり,いただけない.