『巡礼のすゝめ』 ※なおアニメの聖地ではない

聖地巡礼 世界遺産からアニメの舞台まで (中公新書)
普段の趣味は巡礼だと言っても「何が楽しいのか理解できない」と言われる。不快ではないのだが、ハイキングやマラソンは理解されるのに、そこに宗教要素が加わるだけで巡礼が理解されないのは不思議なことだと思う。スポーツの近代化の過程において宗教要素が排除されたことが、明治期の廃仏毀釈に次いで市民感情に影響を与えている。しかし本来の学問や体育競技や医療は、ほぼすべて宗教と強い関係性がある。また巡礼という行為も、世界各地で行われている普遍的なものである。
宗教性があるからと巡礼に興味を持たないことはもったいないため、これを若年層にも普及させたいのが趣旨だ。


巡礼の魅力

多くを語ることはしたくないのだが、魅力は大きく分けて2点にあると思う。

  • 旅行の目的が明瞭になる
  • 地域の歴史との接触

古代霊場

信仰心の薄い私にとっては、霊場の成立がいかに古かったかが巡礼の理由としてなによりも優先される。廃仏毀釈が収束した戦後に、相次いで様々な地域で霊場が発願されたが、それとは一線を画する古代霊場の巡礼をするにはどこを選べばいいだろうか?

室町時代以前に成立した霊場
霊場 成立時期 地域
西国三十三箇所 11世紀ごろ 近畿一円と岐阜
四国八十八箇所 平安時代初期 四国
熊野詣 平安時代末期 熊野三山
坂東三十三箇所 鎌倉時代初期 関東一円
秩父三十四箇所 1234年 秩父
六十六部廻国 鎌倉時代末期 北海道、壱岐対馬、沖縄を除く全国
葛城二十八宿経塚 鎌倉時代以前 和泉山脈金剛山
出羽三山 室町地代 出羽三山
江戸時代に成立した霊場
霊場 成立時期 地域
近江西国三十三箇所 江戸時代初期 滋賀県
富士講 江戸時代初期 富士山
江戸五色不動 江戸時代初期 東京都区部
小豆島八十八箇所 1686年 小豆島
洛陽六阿弥陀 1717年 京都市
知多四国八十八箇所 1809年 知多半島
篠栗八十八箇所 1836年 篠栗町
霊場ではないが巡礼に分類できるもの

各地の回峰行および信仰登山(比叡山、大峯、出羽三山立山など)

おまけ 巡礼関連の作品

55歳の地図アルキヘンロズカン : 上 (アクションコミックス)