LibraryThingについて思うこと

わたしは2010年の夏から読書録として、LibraryThingを利用している。
LibraryThingは本のSNSサービスである。同様のWebサイトは他にもいくつもある。有名なもののみ次にあげておく。

利用開始当時、複数のサービスを比較して使用し、使用感をみてLibraryThingを選んだ。(新しいサイトも登場し、またそれぞれ改良されているので、仮にいま読書録を始める人にLibraryThingが良いかという尋ねられても返答に苦しむが、)3年強利用して他に移る理由がないので、良いサービスであると認識している。いま思う感想をまとめておく。
http://www.librarything.com/pics/about_screens_about.jpg


長く使っておもう一番のポイント

  • LibraryThingでは「Work(作品)」という概念を導入している。これは「Book(本)」と似て非なるものである。例をあげれば、最初にハードカバーで出版されたものが、後年に文庫本になった場合は、それらを同一のWorkとみなす。その他にも、海外での翻訳版も同一のWorkとみなされる。仮にとある文庫本を自分のコレクションに追加したとしても、おなじWorkをコレクションしているユーザの数はハードカバーと文庫本、さらには訳書などとの合計数となるLibraryThingではこのWorkという仕組みを用いて、本と本との関連性がより正しくなるようにユーザらが自発的に修正するという文化が根付いている。


LibraryThingの短所

  • 200冊以上の登録は有料である。ただ、永年利用料は決して高くないので、数年間継続利用することを見越して最初から永年にしてしまうのをおすすめする。
  • 残念ながら日本人のアクティブユーザが少ない。Workはユーザが自発的にBookを結合・分離させる手作業によって成り立っているが、日本語の書籍ではその作業が不十分である。この影響でWorkによる恩恵に充分あずかれていないため、SNS機能やリコメンデーション機能の効果が良いとはいえない。
  • iPhoneアプリAndroidアプリが充実していない。ただWebブラウザさえあれば、携帯機からも普通に利用できるので、さほど苦痛はない。
  • 日本語への翻訳が不十分である。とくにWorkという重要な概念がうまく日本語に翻訳できていない。
  • 若干だが、リアクションが遅い。


LibraryThingの長所

  • 広告がない
  • AjaxによるWebのインタフェースがつかいやすい。これが一番重要。
  • 海外ユーザ数が圧倒的に多い。日本人ユーザが少ないため、同じWorkをコレクションしているユーザは必然的に海外が多くなる。このため、海外における作品の認知度というのが瞬時にわかるのが面白い。
  • 上記に関連して、国内で支持されているベストセラー作家であっても、そのWorkが海外で翻訳されていなければ、コレクションしているユーザは自分のみとなることもざらである。このためSNS疲れしにくいという副作用がある。
  • (これはすでに改善されている可能性があるが、)他の類似サービスでは、Amazonで扱っている商品のみしか登録できないことがままある。LibaryThingなら表紙画像を自分で設定したり、また手作業とはなるが、自分でいちから新しい本を登録したりできる。こういった拡張性の高さが数年前の魅力だった。